私たちの暮らしは、どう決まる?~議会の仕組みをゼロから解説します~

こんにちは。渡辺佳菜です。

日々の暮らしの中で、「政治」や「議会」という言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。「少し堅苦しくて、自分たちの生活とは遠い世界の話」と感じる方も、少なくないかもしれません。

正直に申し上げますと、私自身も議員という立場になる前は、漠然とそう考えていました。仕事や子育てという、目の前の現実に追われる毎日の中で、議会はどこか遠い場所で行われている、特別な人たちのための議論のように感じられたのです。

しかし、一人の母親として、そして経営者として、この町で暮らし、様々な課題に直面する中で、私はある事実に気づきました。私たちが毎日利用する道路、子どもたちが笑顔で遊ぶ公園、子育てを支えてくれる制度…その一つひとつが、あの議会という場所での議論を経て形作られているのだ、と。

この記事では、かつての私のように感じているかもしれない皆様へ、私たちの暮らしの土台である「議会の仕組み」について、「場所」「対話」「関係性」という3つのステップで、ゼロから丁寧に紐解いていきたいと思います。この仕組みを知ることは、町の未来づくりに「観客」ではなく「当事者」として参加するための、大きな力になるはずです。


目次

「定例議会」とは?─町の未来を決める大切な「場所」

まず、すべての議論の舞台となるのが「定例議会」です。

これは、町の進路を決定するための、最も重要な会議体を指します。原則として年に4回、定期的に開催され、いわば、町の進むべき道を決めるための「最高意思決定機関」と言えます。

会社の「取締役会」をイメージしていただくと、分かりやすいかもしれません。会社の重要な方針や予算、新しい规则(ルール)などを決定する場ですよね。定例議会は、その「町バージョン」です。

この会議では、主に以下のような、町の未来の設計図に関わる重要事項が話し合われ、決定されます。

  • 予算の決定:町が町民の皆様からお預かりした税金を、翌年度にどのような事業へ、どれだけ配分するかを決定します。「高齢者福祉を手厚くするのか」「子育て支援を拡充するのか」といった町の優先順位が、具体的な数字として表れる、最も重要な議題の一つです。保育士さんの数を増やすための人件費や、美しい景観を守るための維持管理費も、この予算審議を経て決まります。
  • 条例の制定・改正:町の独自の法律である「条例」を新しく作ったり、時代の変化に合わせて見直したりします。例えば、「空き家対策を推進するための条例」や、「町の特産品をPRするための条例」など、私たちの暮らしに直結するルールがここで生まれます。
  • 重要な契約や計画の決定:新しい公共施設を建設する際の工事契約や、町の総合的なまちづくりの指針となる「総合計画」などを承認します。未来の町の姿を左右する、大きな意思決定が行われます。

町長が「町をこのように運営したい」と提案したこれらの案に対して、町民の代表である私たち議員が、本当にそれが町民のためになるのか、税金の使い道として適切か、といった多角的な視点から慎重に審議し、最終的な意思決定を行う。それが定例議会の最も重要な役割なのです。


「一般質問」とは?─あなたの「声」を政策に繋げる「対話」の仕組み

町の未来を決める「場所」が定例議会であるなら、そこで行われる最も重要な**「対話」の仕組みが「一般質問」**です。

これは、定例議会において、議員が町長をはじめとする町の執行機関(役場)に対し、行政全般にわたる課題や方針について質問し、見解を問う制度です。日々の暮らしの中で生まれる、町民の皆様の「声」を、具体的な政策へと繋げるための、パワフルな仕組みなのです。

では、皆様の声は、どのようなプロセスを経て政策に反映されるのでしょうか。

例えば、ある保護者の方から「子どもたちが利用する公園の遊具が古く、安全面が心配だ」という切実なお声をいただいたとします。そのお声を基に、私は議員として、まず現地に足を運び、遊具の状態を自分の目で確認します。同時に、関連する安全基準や国の補助金制度、そして他の自治体ではどのような対策を取っているのかを徹底的に調査します。

そして、その調査結果と改善策の提案を携え、議会の一般質問の場で、町の責任者に対して「〇〇公園の安全対策について、町の現状認識と今後の具体的な修繕・更新計画を伺います」と、公式に見解を問うのです。

もちろん、一度の質問ですぐに全てが解決するわけではありません。時には、さらに議論を重ねる必要もあります。しかし、この「一般質問」という公の対話を通じて、一つの課題が町全体の公式な検討事項となり、具体的な予算措置や計画策定へと繋がっていきます。

皆様から託された想いを、責任を持って調査し、論理を組み立て、議会に届け、形にしていく。それが一般質問における、私たち議員の大切な役割です。


「二元代表制」とは?─健全な運営を保つ「関係性」のルール

さて、これまで「議員」と「町長」という二つの立場が登場しましたが、この両者はどのような**「関係性」にあるのでしょうか。その基本ルールを定めているのが、地方自治の根幹をなす「二元代表制(にげんだいひょうせい)」**です。

「二元」とは、その名の通り**「二つの元(源)」から代表が選ばれることを意味します。私たち町民が、町の運営を実際に執行する町長(執行機関の長)と、町の重要な意思決定を行う議会議員(議決機関)**を、それぞれ別の選挙で直接選んでいます。

この仕組みを、町という一台の「車」の運転に例えてみましょう。

  • 町長(執行機関)は「エンジン」役
    町長は、政策という目的地に向かって町を力強く前に進める「エンジン」の役割を担います。
  • 議会(議決機関)は「ハンドルとブレーキ」役
    一方、私たち議会は、その車が本当に正しい方向に、安全な速度で進んでいるかを確かめる「ハンドルとブレーキ」の役割を果たします。

なぜ、このように役割が分かれているのでしょうか。それは、権力の集中を防ぎ、車の暴走を食い止める「チェック機能」のためです。もし町長が一人でエンジンもハンドルも操作できるとしたら、道を見誤っても誰も正すことができません。

だからこそ、町民が直接選んだもう一方の代表である議会が、独立した立場で「その計画は、本当に町民のためになりますか?」「税金の使い道は、適切ですか?」と厳しくチェックするのです。議会には、町長が提案した予算案や条例案を否決する権限や、究極的には町長に対する不信任を決議する権限も与えられています。

両者は時に緊張感を持ちながらも、お互いを尊重し議論を尽くすことで、より良いゴールを目指す。「二人三脚」のような関係性が、二元代表制の理想の姿です。


おわりに─町政の主役は、いつだって町民の皆様です

ここまで、議会の仕組みについて3つのステップで解説してきました。

  • 定例議会は、町の未来を議論する大切な「場所」
  • 一般質問は、皆様の声を政策に繋げるための「対話」の仕組み。
  • そして二元代表制は、健全な町政を維持するための「関係性」のルール。

これらの仕組みはすべて、この町の主役が、町長でも議員でもなく、町民の皆様一人ひとりであることを示しています。

私たちが持つ一票で、「エンジン」役の町長と、「ハンドル・ブレーキ」役の議員を選ぶ。その両輪を選ぶことで初めて、町の政治は健全に動き出します。この記事が、皆さんの暮らしと町政を繋ぎ、ご自身の持つ一票の重みと可能性を再発見するきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

これからも、皆様と行政との「架け橋」として、分かりやすい情報発信に努めてまいります。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

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