“自分の価値を証明しないと愛されない” と思っていませんか?
こんにちは、渡辺佳菜です。
「家事も仕事も子育ても全力でやっているのに、どこか報われない気がする……」
「結果を出さないと、必要とされていないのでは?と思ってしまう……」
「毎日何かを達成しないと不安になり、できなかったら自己嫌悪に陥ってしまう……」
と感じることはありませんか?
実はこうした苦しさの背景には、自分や相手を“存在そのもの”ではなく、“どんな成果を出すか”で評価してしまう思考が隠れていることが多いんです。
今日は、その理由と解決のヒントを、フロイトの心理学をちょっとお借りしながら一緒に探っていきたいと思います。
「自分の価値を証明しないと愛されない」と思ってしまう仕組み
私たちの社会には「◯◯ができる人が偉い」「成果を出さなきゃ認められない」という風潮が少なからずありますよね。
- 仕事で実績を出さないと、会社や周りに必要とされないかも
- 家事や育児を完璧にやらないと「ダメな親」扱いされるかも
- “いい人”でいないと、パートナーや家族が離れていくかも……
こう考えるうちに、「何もしない自分には愛される価値がないのでは?」という不安が強まっていきます。
しかし、本来わたしたちには「何をするか」ではなく、「そこにいるだけで大切にされる」関係がちゃんとあるはずなんです。
そこに気づけないままだと、いつまでも「もっと頑張らなきゃ」「期待に応えなきゃ」と追い込まれてしまいます。
“見捨てられない関係”って何?
私がよくお伝えしているのが、“世の中に決して脅かされることなく、決して見捨てられることがない関係”が自分自身との関係だということ。
- どんな失敗をしても、結局最後まで一緒にいるのは自分
- 他の誰がどう言おうとも、自分さえ「大丈夫だよ」と受けとめれば、本当はそれだけで救われる可能性がある
それは無条件の愛とも自己受容とも言われていますが、私はこの「自分の中にある、どんな自分でも受けとめる力」
「母なる存在」と呼んでいます。
問題は、この母なる存在に気づかないままだと、外の世界に「もっと私を認めて」「私を愛して!」と求め続けて、苦しくなるという点です。
幼少期の心の成長と安心感の大切さ
「でも、どうして私たちは『自分の価値を証明しないと愛されない』と思ってしまうのでしょう?」
その背景には、幼い頃にしっかりと「頑張らなくても大丈夫だよ」と言ってもらえなかった経験——つまり愛着の問題があるかもしれません。
フロイトの心理性的発達理論から見る心の成長段階
ここで、かの有名な心理学者フロイトさんの“心理性的発達理論”を簡単にご紹介しておきますね。
フロイトは人間の性格形成における“性的エネルギー(リビドー)”のはたらきに注目し、人格形成を大きく5つの段階に分けて説明しました。
段階 | 年齢 | 特徴 | 潜在的な固着の影響 |
---|---|---|---|
口唇期 | 0~1歳 | 口を通して快感を得る (例: 母乳を吸う、指しゃぶり) | 依存心が強い、常に何かを口に入れていないと落ち着かない、喫煙、過食など |
肛門期 | 1~3歳 | 排泄を通して快感を得る (例: トイレトレーニング) | 潔癖症、頑固、ケチ、浪費癖など |
男根期 | 3~6歳 | 異性の親に性的関心を持つ (例: 男の子が母親を独占したがり、父親をライバル視する) | 異性との関係に問題を抱える、権威主義的な性格、自意識過剰など |
潜伏期 | 6~12歳 | リビドーが抑圧され、性的関心が薄れる (例: 同性の友人と遊ぶことに関心を持つ) | 社会性に乏しい、対人関係が苦手など |
性器期 | 12歳~ | 異性への性的関心が成熟する (例: 恋愛) | 性的な問題を抱える、対人関係が不安定など |
各段階では、それぞれ特有の欲求や葛藤があり、そこをスムーズに通過できるかどうかで、その後の性格や行動に大きな影響が及ぶとされます。
たとえば、赤ちゃんが口から快感を得る「口唇期」、トイレトレーニングで「肛門期」、性差に気づく「男根期」など……。
もし各段階で欲求が満たされなかったり、強い葛藤を抱えたままだったりすると、大人になってからもその“固着”が影響して、「自分は何かをやらないと愛されない」と思い込みやすくなるのです。
けれども、フロイトの理論を踏まえても結局のところ、どの段階でも大切なのは「ありのままでも大丈夫」「あなたがいるだけで愛されるんだ」という安心感です。
もしここが足りないと、「やらなきゃ」「頑張らなきゃ」と自分を追い立て、さらに「誰か私を認めて!」と外に求め続けてしまう。そんな状態からなかなか抜け出せなくなってしまうんですね。
「私を愛してー」が止まらないのはなぜ?
- 「頑張らないと見捨てられる」思い込み
小さい頃に「ちゃんとやりなさい」「成果を出さないとダメ」という声が強かった方は、いつしか「頑張らなきゃ、私は価値がない」という思考を当たり前に感じるようになります。
すると大人になっても、余裕がないまま必死に成果を求め、評価を求め、苦しくなっていくんです。
- 自分の中の“母なる存在”を知らないまま
本当は自分自身が「大丈夫だよ」「そのままで愛されてるんだよ」と言ってあげられる存在なのに、それを知らずに外へ外へと愛を探してしまう。
これが人間関係のトラブルや摩擦を引き起こす原因にもなります。
- 心がまだ少年少女のまま
たとえ大人や親になったとしても、“私は本当は愛されていないのでは?”という少年少女の心を抱えたまま。
すると、子どもやパートナーに「私をもっと認めて!」と依存してしまい、さらに苦しさが増幅してしまいます。
どうすれば“無条件の愛”を育てられる?
- 「あなたがいるだけで嬉しい」を意識する
- 「○○ができるからすごい」ではなく、「あなたは何もしなくても存在自体が大切なんだ」というメッセージを、まず自分に送りましょう。
- すると、自然と周りの人にも同じように接しやすくなります。
- 自分の気持ちをキャッチする(自己共感)
- 「いま私、寂しいと感じてるんだな」「本当はもっと休みたいんだな」と、素直に自分の心を見つめる。
- 自分が自分の一番の理解者になることは、実はとても大切な一歩です。
- “境界線”をつくる
- 「もっと認めてよ!」という人に、全部こたえる必要はありません。
- あなたの心や体が悲鳴を上げそうなときは、「ここまでは協力できるけど、それ以上はごめんね」と伝えて大丈夫。
- 自分を守るためにも、クリアな境界線を持つことが大切です。
- 子ども(やパートナー)には「結果に関係なく愛されていい」を伝える
- 「すごいね」「えらいね」という評価よりも、「あなたがいてくれるだけで本当に嬉しい」「何もしなくても愛してるよ」という言葉をかけてあげる。
- これが幼い頃から身についていると、“自分の価値を証明しなくても大丈夫”という感覚が育ちやすくなります。
“頑張らなくても愛される”自分へ
自分のなかに“母なる存在”を見つけると、次のような安心感が生まれてきます。
- 「今日うまくいかなくても、私の価値は変わらない」
- 「何の成果もなくても、私は私で大丈夫」
この安心感がベースにあると、仕事でも学業でも子育てでも、程よく力を抜きながら頑張れるようになるはずです。
まとめ
- 「いつも頑張っているのに満たされない…」という苦しさには、「自分の価値を証明しないと愛されない」という思い込みが関わっていることが多い
- 幼少期に“ありのままでも愛される”と感じる機会が少なかった人ほど、大人になってから「もっと愛して」「認めて」と外に求めてしまいがち
- でも本当は、自分自身こそが“どんなあなたでも大丈夫だよ”と受けとめる「母なる存在」
- まずは「何もしなくても、私は私でいいんだ」と自分を肯定するところから始めてみる
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
子育て中の方はもちろん、学生さんやお仕事を頑張っている方も、自分の価値を証明するためだけに必死にならなくても大丈夫だということを、思い出してみてくださいね。
もしよければ今日から、小さな声で自分に「頑張らなくても私は愛されるんだ」と言ってあげてみてください。何かが少しずつ変わっていくはずですよ。
ではまた、次の記事でお会いしましょう!